ホンタクロース

その御方が、今年も来ました

 

「今年で30年目になりました」

 

平成23年の冬、突然お店にいらしてから

毎年1回、当店にケーキを注文に来られる

タイガーマスクさん

 

どういうきっかけで

タイガーマスクになったのか、

聞いたことがなかったので初めて

今年、思いきって聞いてみました

 

 

それは30年前の

本屋さんでの出来事

 

 

一人の子供がある本のページを

めくって見ては本屋を出て、

また少しして本屋に入って来ては

また同じ本をめくって見て、

を、何度か繰り返していたそう

 

気になったタイガーマスクさんは

本屋から出て子供を呼び止め

 

「ぼく、あの本が好きなんか?」

「…うん」

 

「あの本、欲しいんか?」

「…うん」

 

「お小遣い持ってないんか?」

「…うん」

 

「お父さんやお母さんに言うてみたらどうや?」

「おらへん」

 

その場で子供から話を良く聞いて、

後日、その子供がいる児童養護施設に

その本と図書券を持っていったのだそう

 

 

持っていくと決めるまで、 

ものすごく自分に問うたそうです

 

 

その場の感情だけで、その日だけ

持っていく、何かするというのは違う

ならば、30年続けよう

 

30年続けると決めたら

この本と図書券を

自分は持っていくことができる

 

そう心に決めて

 

「それで30年になったんです」

 

 

 

7年前に初めてお会いしてから、

ちっとも変わらない

 

兵庫県下の児童養護施設に

クリスマスケーキやランドセル、

音楽バンドのプレゼントなど

贈り続けて30年

 

7年前、御縁あって当店に立ち寄られ、

以来クリスマスケーキをご注文される

 

 

私たちは本好きということもあって

自称「ホンタクロース」と名乗って

ご注文のクリスマスケーキと本を

気持ちばかり一緒に届けているのですが

 

真のホンタクロースは

30年前のタイガーマスクさんだったんだ

 

切なく、胸がきしみました

 

 

思い返すと昔、

私たちが本を届けたことを伝えると

 

「本は…いいよ。本はいい」

 

と、本はいい。を繰り返して言っていた

 

 

タイガーマスクさんも本好きなんだ

と、あの時は単純にとらえていた自分が

なんだか可笑しいけれど

きっと、思い出されていたんですね

 

 

タイガーマスクさんも

本で人生が変わったひとりだったんだなぁ

 

9年前の私たちのように

 

 

 

本は、扉に似ている

 

知らない世界や新しい世界へ

連れて行ってくれる扉

 

 

「本は、いい」

 

 

この言葉が

今も心の扉をノックしています