ただ空があるだけ

「今日、引っ越しなんです」

 

Rさんの 

思いがけない言葉に 

固まってしまった

 

 

旅館で 日々 働いていた

台湾人のRさん

 

ベジタリアンの 彼女は

とても素直で 飾り気がなくて

はにかむ笑顔が 可愛い女の子で

 

聞くと 新しい働き先が決まり

お別れの挨拶にと お店に

立ち寄って下さったのだという

 

思えば

今年の 夏頃だったかなぁ… 

 

お店の 片隅の席で

思いふけっている様子が 見受けられて

(今日のRさん 珍しいなぁ…)

と 気になった日があった

 

 

当店は 旅館さんに近いこともあり

宿泊された方が 翌朝 ご来店されて

ご感想を  よくお話しされるのですが

 

「台湾人のRさんによくしてもらった」

「台湾人のRさんという女の子が

一生懸命に応対してくれた」

と 

名指しで Rさんのことを話す方が

今まで 何組もいらして

 

それを Rさんに伝えると いつも 

「わたし、まだまだ。お客さまに

気が付かないことばかり」

本当に 恥ずかしそうに笑う

Rさんでした

 

 

とても 寂しくなるけれど

 

新しい日々の中で 

感動も失敗も いっぱい経験して

たくましく 素敵な女性に

心から 願っています

 

別れ際 Rさんが

「仕事で 辛いことがあったとき

ここに来て

何度も 気持ち 助けられた」と

 

いえ こちらこそ

Rさんの ひたむきな姿に

励まされてきたのです

 

朝早く 夜遅く

自転車で 旅館へ通う Rさんに

 

ふだん 

人にハグなど 滅多にしない自分が

気づいたら Rさんに

ハグしていた

 

 

わたしが好きな

ジョン・レノンも 歌ってた

 

国境はない

ただ 空があるだけ

 

空に 願いをかけた 

ある日の お話でした

 

オヤスミナサイ