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ご褒美

 

日本固有種の野藤「山藤」が

杉のてっぺんで咲いています

 

この年まで恥ずかしながら

藤と山藤の違いがなんなのか

よく知りませんでした

 

特に気にしたこともなく

春を過ごしてきました

 

毎年 ニュースで流れる藤棚の

長くしなだれた優美な藤と

10m以上の高さだろうが

上へ上へ樹上にからむ鈴なりの藤

 

人の手が加えられた美しさと

野生がもつ圧倒的な生命力

どちらも胸を打つ美しさです

 

 

お店のカウンター席の窓から

見えている今の山藤です

 

あんな上までからまれて

杉の木はうっとうしいなぁと

思っているのかしら

聞けるものなら聞いてみたい

 

山藤のつるは藤とちがって

左巻きなのだそうです

 

地球の自転や太陽を回る公転

ミクロの素粒子とて左巻きという

自然界のエンドレスな法則と同じ

 

 

家のデッキから見上げる木にも

薄紫の藤が鈴なりで揺れている

 

きれいだなぁと思う脳の端っこで

演歌歌手の藤あや子って名前

きれいな響きだよなぁ とも思う

 

そういえば今日 お客さまから

「あの藤の花の横に咲いてる

おっきい白い花は何ですか?」

と聞かれました

 

(おっきい?白い花?)

・ ・ ・ ・ ・ ・

一瞬で頭のネジを左巻きで

記憶の渦をぐるぐる回し

「朴の木(ホオノキ)です!」

 

そうお答えしたものの気になり

あんみつをお出ししてから

改めて外に見にいきました

 

 

よかった…

 

ちょっとばかり葉を頂戴して

朴葉焼きをしようと企んでいる

ホオノキでした

 

この感じなら5月中頃までは

白い大輪の花を魅せてくれそう

 

お車から降りられたら

少し上を見上げてみてください

 

ご褒美という文字にある「美」

野生の山はご褒美だらけです