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迷いない青空

 

久しぶりの雲ひとつない空です

こんな日は年に何度も本当にない

 

360°回っても なんにもない

迷いなく澄みきった青さ

 

 

10年ほど前に初めて

ご来店下さって以来親しかった

お客さまの訃報を受けました

 

最後のお見舞いに伺ってからは

空を見上げては想い出す日々が

何度となく続いていました

 

ご夫婦だと思っていた二人が

お話を伺ううち違っていたこと

 

血のつながり 婚姻関係が必ずや

幸せの免罪符ではないこと

 

自分の視野や尺度だけで持論を

振りかざしたり 評価したり

人をも裁くことは愚かなこと

 

人の話はよくよく聞かないと

深い過程があるのだということ

 

人を救ったり 人に救われたり

考えさせていただくことが多く

よく笑い合って話をしました

 

 

今日 初セミの産声が

森のあちこちで聞こえました

 

消えていく生命

生まれてくる生命

尊い時間を譲り渡していく

 

赤穂で営業していたときも

何度かお客さまをお見送りして

その都度

お好きだったものを席に置いて

立ち上る湯気に祈ってきた

 

湯気の向こう側には

今日は澄みきった青空が

 

迷いない一生だったことに

献杯したいと思います