先日 ご来店されたお客さまから
思いもよらず頂いた生乳です
絞ったまんまの牛の乳
市内近くに乳牛牧場があるなんて
知らなかったので驚きました
お顔を覚えていた方だったことも
でも 牛はたくさん水を飲むので
伏流水や湧き水が豊富な宍粟は
水を確保する条件は有していそう
店主が開業する前には 神戸の
弓削牧場で働いていたことを
話すと お客さまも驚かれていて
草の香りがする乳白と空気感に
店主は懐かしそうにしていました
生乳から作ったチーズを使って
ケーキやデザートを作ったり
生乳から作るソフトクリーム
ウエディングケーキも作ったり
牧場の菓子担当だったのですが
難産の母牛の出産を手伝って
引っ張ったことがあった話など
お客さまに思い出を話していました
たしか 出産間近の母牛の産道に
子牛の脚が引っかかって出られず
弓削牧場の場長さんが産道に
めいっぱい肩まで腕を突っ込んで
子牛の脚をつかむとロープを結び
加勢に呼ばれた店主を含めて
男衆総出でロープを引っ張って
やっと無事に出て産まれたこと
母牛の懸命な難産に立ち会って
自宅に帰ってきた その夜は
興奮気味に話していましたから
そうそう 私もよく覚えています
生乳でソフトクリームの元種を
一から作るときは都度 菌検査を
行ない確認して作っていたそうで
2次加工する食品製造現場では
生乳の扱いはとても慎重なのです
自治体によって保健所対応の
衛生認識度が一律ではないため
生乳の直接の小売り販売は
ハードルが高くリスクもある
当時（今もかな）神戸は禁止
なので余剰生乳は集乳車が
引き取って乳業メーカーへ
今回はご厚意でいただいたので
一杯はそのまま飲んで味わって
残りの生乳は65℃で30分間の
低温殺菌をしてから冷蔵庫へ
ごく自然なことですが
食べる草や水 過ごしている環境
春夏秋冬で 味がまったく違う
懐かしい味 懐かしい思い出
両方を楽しませていただいて
感謝です
せっかくの貴重な生乳なので
低温殺菌した牛乳をケフィア菌で
24時間発酵させて作ってみました
自家製ヨーグルトって面白い！
どうしよう ちょっとハマりそう
ケフィアの酸味とミルクの旨み
ノンホモ牛乳なので表面にできた
生クリームの層も美味しいです
これは一度 お訪ねしないとね
と 言いながら楽しく食べました
たまたま 時を同じくして
島根県の牧場で牛を蹴る愚かな
動画が問題に上げられていて
目を背けたくなる行為を見て
何ともいえないタイミングに
とても考えさせられました
お客さまのご主人様（場主）は
飼っている牛に話しかけるそうで
「俺はよう知っとるんやぞ、
お前の母ちゃんも父ちゃんも、
じいちゃんもばあちゃんも」
もう乳が出なくなった老牛を
すぐ出せないような方だと聞いて
慈愛に満ちた牛飼いの方が作る
味わいを心ごと堪能させて頂いた
どんな過程を経てできた食材か
どんな思いの人が携わったものか
食材の元々の真贋も大切ですが
お客様から聞いた言葉が
私に問いかけ続けています