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さんぽうのかまど

 

冬だけ作っている

ヘーゼルナッツペースト入りの

チョコレートクッキーサンド

 

見た目はシンプルで地味ですが

香ばしい滋味と似合っていて

楽しみにしている大好きな菓子

 

食べるときは 写真のように

真ん中の絞りの継ぎ目で割ると

食べやすい幅に作っています

 

 

菓子工房にお邪魔して

 

ちょうどチョコレートを挟んで

まったり お休み中のところを

撮らせてもらいました

 

バターが効いたサクサク生地は

ヘーゼルナッツを生かす配合で

 

縦縞の絞りは口に入れたとき

最初の舌触りとチョコレートが

ほどけていくように考えている

 

実はとても巧妙な計算の元で

この縞々絞りになっているのです

 

パキンと割って

現れたロマンスブラウンを

愛でて どうぞお楽しみください

 

 

はみ出たチョコレートも

ご愛敬

 

店主の相棒であるオーブンは

お菓子を作るお店では珍しい

輻射窯というガスオーブンで

 

電気ではなく直火の焼成のため

遠赤外線の相乗効果もあって

焼きものは特に美味しくなる

 

分かりやすく例えるなら

IH炊飯ジャーで炊く米と

火加減をしながら土鍋で炊く米

 

スマートな電気自動車と

排気筒の躍動感ある日本の名車

そんな既視感のある違いかしら

 

ほぼ例外なく 大体のお店は

電気オーブンを使われている

 

電気制御なので安定していて

扱いやすい電気オーブンは

確かに効率と安定は抜群だそう

 

開業時にオーブンを決めるとき

直火オーブンを迷わず選択した

店主は本当に変わっている

 

マニアックさ全開のガス窯は

使い慣れるのに癖と時間が

かかるけど旨みが際立ち優しい

 

オーブンエンジニアの職人さんと

細かくやりとりしている店主を

傍らで当時 見ていた私は

 

バイクや自動車みたいやなと

作業風景を眺めていたことを

今でも鮮明に憶えています

 

細かい所もカスタムしてもらい

どこにも同じものがない唯一の

ガスオーブンが相棒になった

 

14年前の当時 使っていた所は

近畿圏で当店を含めて3軒のみ

 

大阪のりくろーおじさんの店と

滋賀にあるお店と当店の3店舗で

今も使われているかは分からない

 

数年前に オーブンの製造会社は

惜しくも閉業されてしまって

 

こういう人間味のある機械が

もう手に入らないことが残念で

大事に使わなきゃと思います

 

 

あらら こっちは

はみ出し方が あっかんべー

でも固まりますのでご安心を

 

直火オーブンは感覚が大事で

火加減と焼き加減を最終的に

自分で見極めて調整するそう

 

先日 菓子工房の方から何か

声がするので見に行ったら

 

ヘーゼルナッツカカオの

お米のチュイルを焼いていた

店主が「失敗したーー」と

 

「どした?どした?今でも

失敗することあるんやー」

私が言うと「1分見誤った」と

 

どうやら少し焦がしたらしく

明日 また焼き直すために

寝かす生地を作り直していた

 

相棒とミスマッチすることも

時々ありながら続いていく

さんぽうのかまど

 

 

お店で少しずつ増やしている

観音竹の縱縞の葉脈が

 

朝日に照らされて

ヘーゼルナッツチョコレートの

クッキーサンドみたいで