お店で使う食材や調味料は

プライベートでも真剣に選んで

使っているものと同じです

 

ふだん何を選んで食べているかが

何を作るかの羅針盤になるので

バランスを大切にしています

 

こだわりではなく妥協ができない

というのに近いかもしれません

 

効率化や大量生産化により様々な

恩恵を受けてきたことが光なら

 

進め過ぎた先に現れた影は

食べる人と作る人が同等ではない

何かが抜け落ちた食べものが

増えてきたことかもしれません

 

食べものは生きものが成長して

変容してきた活動記録そのもので

心と体にゆっくりと沈殿していく

活力が本来宿っています

 

良い食材と調味料は家庭の置き薬

 

その当たり前の原点で作ってきた

生きものたちの活動記録なのです

 

 

 

作り手として大事にしているのは

文字にならないような

工夫やひと手間です

 

どうやって作っているのだろう?

と思われる味や食感の商品が

当店には多いかと思います

 

種類や数字を追って時代について

いくことを求めるよりも

 

御縁あって求めて下さる方々に

どこにもないワンダーな味を

楽しんで頂こうと一心に作るうち

カテゴライズできない独自の

ものが自然発生的に増えてきました

 

付け焼き刃で作られたものか

お客さまは質をちゃんと

見抜くものだと思っています

 

非効率でも実直に重ねていけば

きっと言葉を超えて伝わるものが

有形無形の質となって

感動を届けてくれると信じています

 

 

 

このエジソンランプの明かりは

開業当初から灯しているもので

以前は玄関の頭上でお客さまを

照らして迎えてくれていました

 

移転後の宍粟では厨房とフロアの

境界でお客さまとわたしたちを

つなぐ場所に灯っています

 

世界で初めてエジソンが発明した

真空管の電球を忠実に復刻した

真空製法のもので現在では

製造されなくなりました

 

LEDで模倣したものが市場に

出回っていますが本物が放つ

温かみのある柔らかな灯火までは

真似できないのかもしれません

 

製造所という意味の ery を

屋号に変えたのは2017年 その後

大きく世の中が揺れ動いた間も

明るさを失わず照らしています

 

出会った人の一日や人生の片隅を

温かく灯してくれるものは何か

今も探求し続けています

 

 

 

作りたいという気持ちを

呼び起こされるのは自然の気に

触れているときが多いです

 

知らないことに出会うのは楽しく

作られた習慣や思惑から離れて

作りたいと思える衝動を

天に預けている日々です

 

自然を間近に身を置くようになり

ドストエフスキーの言葉で

「美しいは世界を救う」の真意が

腑に落ちるようになりました

 

美しいものが分かる心と想像力が

育てば世の中の些細ないさかいも

消えていく気がするのです

 

美しさに体感を傾けていくと

自分の引き出しは空っぽになりま

 

詰め込んだものは誰かの引き出し

本物の美しさは箱の中に入らない

どこまでも伸びていく

枝の葉先にあります

 

さんぽう穀eryの歩み

グレスケとクロコの

どこまでやるの?

グレスケ

店主:おもち番長

菓子製造と焙煎担当

生態トリセツ:5秒で寝る

クロコ

相方:味見番長

養食とデザイン担当

生態トリセツ:犬並みに鼻がきく


 

一昔前ですが

「欽ちゃんのどこまでやるの?」

というテレビ番組がありまして

 

小堺一樹さんと関根勤さんが

体当たりでショートコントする

「クロ子とグレ子の

どこまでやるの?」

という名物コーナーがありました

 

何が起こるか分からないアドリブ

あたふた即興でやり抜くフリやオチ

日常にあふれる滑稽さが好きでした

 

一生46億年地球から見れば

まさしくショートコントの総集編

お店は観客のいない舞台に思います

 

お客さまはゲストというよりも

今を楽しむキャストかもしれません

 

様々なキャストと共に時を過ごし

毎日ちがう物語が生まれていきます

 

最高の舞台を整えてご用意するのが

お店の最大の努めと信じていますし

目立つのは苦手で黒子に徹している

方が居心地よく合っているようです

 

製造するものはもちろんですが

よい一杯を淹れるための工程や

居心地のいい空気を醸せるように

毎日集中と改善を繰り返しています

 

「グレスケとクロコの

どこまでやるの?」

どうぞ末長く笑い合いながら

ゆっくりとお付き合いください