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ためない気持ち

 

お米で作ったザクザクと

食べごたえのある焼菓子

「小腹のかみさま」

 

 

こちら 誕生当時のデザイン

最近まで この図柄でした

 

「お米1粒の中には

7人の神様がいるんだよ」

 

土  風  雲  水  虫  太陽

そして 作る人

 

大国主命の7つの別名だという

ご神饌の伝承を表したくて

この7つの図柄を当時描いた

 

そもそも

このお菓子を作ろうと

思ったのも神様への神饌で

 

以前に営業していた場所が

赤穂御崎の伊和都比売神社の

境内の一角だったのですが

 

当時のある日

店の玄関先を撮った写真に

目を疑いました 神様?の姿

 

これが そのときの写真です

懐かしい

 

 

当時 いろいろな理不尽や

虚しさに心が折れそうなことが

度々あって 葛藤する日々で

 

境内に捨てられている

心ないゴミや煙草の吸い殻は

掃除しても掃除してもあり

 

近くのお店の従業員でさえ

出勤して境内に駐車するとき

躊躇なく煙草を捨てて行く

 

神様の通り道である

鳥居から本殿の参道を敬って

マルシェを運営してほしいと

関係者に言ったこともある

 

うちらは地域の活性化を

してるんや何が悪い という

心の通じない言葉が返ったり

 

地域をより良くしていこう

という思いのベクトルの違い

 

何でもそう  正義と悪ではない

大体の原因のを元を辿れば

正義と正義の対峙なのだ

 

地域の活性化 盛り上げ

本来の自然遺産を置き忘れて

どの地域も抱える大きな光と影

 

掃き清めても ゴミを拾っても

私はちっぽけで非力でした

 

その渦中でこの写真が撮れて

驚きながら見たときに

肩の力がふーっと抜けました

 

「これでいいのだ」

バカボンのパパの言葉に似て

 

 

淡々と 粛々と

何のためと力まず 肯定して

「ためない」思いで掃除する

 

朝 よく一緒の時間に掃いていた

旅館にお勤めだったKさんが

 

「きれいになったら

気持ちええなー」

よく こうおっしゃっていた

 

それだけでいいのだ

神様が青い虹色の姿を見せて

言葉なく教えてくれたから

 

そのときの御礼の気持ちで

神饌として作ったのがこの菓子

初代お米菓子「小腹のかみさま」

 

小腹が空いたときの感覚は

何かの糸口を探しているときの

心の隙間に似ていませんか

 

 

新しい装いのかみさま

 

米粉だから とか

お米だけで とか

頑なな思いをためていない

 

素材はそれぞれに持ち味がある

一番座り心地のいい場所を探し

食べ物や飲み物に変える手助け

 

それこそ菓子を作り出す店主は

なんにもためない達人で変人

いつもフラットで 揺るがない

 

様々なお客さまから言われる

ここのはなぜか食べられる と

遠くからでも求めて下さるのは

 

ためない気持ちで作っている

我の強さがない味だからではと

なんとなく私は思っています

 

お米を作りだす自然もかみさま

稲をこしらえる農家もかみさま

 

商品を作っている私たちも

お召し上がりになるお客さまも

すべて かみさま

 

ひとりひとりが神社で

ひとつひとつの物事も神社

鳥居も本殿も心の内にある

 

それは境内の掃除を通して

気付かせてくれたことでした

 

移転をすることに決めてから

跡地の店舗を地元の製塩企業に

お声をかけさせていただいた

 

神饌でもある塩ならきっと

伊和都比売の神様も歓迎されると

 

 

7つの神様の中の 雲

流れ移ろい とどまらない

その思いをデザインし直した

 

雲の神様はためない気持ちを

分かって下さるだろうか

 

今日もどこかのかみさまの

小腹を満たしているだろうか

 

 

これでいいのだ

 

これも かみさまの一枚